体験談:現地小学校でインターン(大学3年生)

アシスタントティーチャープログラム体験談:小学校

神田外語大学英米語学科3年生(参加当時)中村望さん

参加理由

大学で学んできた知識をもとにアメリカの小学校で授業を実践し、子どもたちの反応を肌で感じたいと思い、参加を決めました。アメリカの子どもたちがどのように英語を学習しているのか、また、先生方がどのように工夫しているのかなどを実際に観察して吸収することで、日本の児童生徒へのより効果的な英語指導に役立てることができると考えたからです。ホームステイを経験できるという点も、自分の英語力を試しさらに伸ばす良い機会になるため、とても魅力的に感じました。

参加する前に思っていたこと

楽しみだったこと

児童を対象に英語で英語を教えるというのは大学の模擬授業を通して何度も行いましたが、実際に子どもたちに授業を行うのは未経験だったため、自分の授業に子どもたちがどのような反応を示すのか、とても楽しみでした。また、授業以外でも子どもたちと沢山触れ合うことで、より学びの多い充実した実習にしたいという思いもありました。

不安だったこと

私はまだ学生ですが、子どもたちにとっては担任の先生もアシスタントティーチャーも同じ「先生」です。子どもたちも含めて現地の人々と良い人間関係が築けるか、また現地の小学2年生に私の英語力が通用するのか不安でした。しかし大学での知識や経験を生かして自信を持って頑張ろうという気持ちの方が強かったです。

アシスタントティーチャーについて

実習先の日々の仕事

Hickory Elementary Schoolで小学2年生のクラスを担当し、実習をさせていただきました。先生が毎朝用意してくださるプリントを使用してリーディングの指導を行うとともに、絵本の読み聞かせを毎日担当させていただきました。他にも、学習に遅れが見られる児童の補助や、学習が進んでいて授業中退屈そうにしている児童への支援なども行い、とても充実した実習になりました。

実習先での1日の流れ

  • 8:30 学校到着
  • 9:00~9:30   朝の会
  • 9:30~10:30 リーディング&ライティング
  • 10:30~10:50  休み時間
  • 10:50~12:00 リーディング&ライティング
  • 12:00~12:50   ランチ
  • 12:50~13:10 読み聞かせ
  • 13:10~14:00 算数
  • 14:00~14:20 休み時間
  • 14:20~15:00 体育
  • 15:00~ 帰宅
ランチの様子 日本の給食との違いを見ることができました。

基本的にこのような流れですが、日本の小学校のように時間割がなく、担任の先生が子どもたちの様子を見ながら柔軟に授業内容と時間を決めていました。休み時間には担任の先生に許可をいただいて子どもたちと一緒にスナックを食べたり外で遊んだりする時間を共有することで親交を深めました。授業以外でも子どもたちと一緒に過ごして積極的にコミュニケーションを取るよう心がけました。

実習で印象深かったこと

様々な国籍を持つ子どもたちが同じ教室で学んでおり、英語能力にも差がある中で、先生が一人の児童に対して個別指導をするという場面は全く見られませんでした。子どもたち同士で学び合い、一生懸命に授業に取り組んでいる姿が深く印象に残っています。優しくて頑張り屋な子どもたちから学ぶことはとても多かったです。私も将来教員として、このような温かい雰囲気の学級を作りたいと強く感じました。

実習で大変だったこと

大変だと感じたことは、英語能力が高い子への支援の仕方です。リーディング指導はグループごとに分かれて行なっていたのですが、みんなで音読をする前にあっという間に問題を解き終わってしまうため、グループ全員の関心を引きつけるのに苦労しました。どうしても読むのが遅い子や問題がなかなか解けない子たちにばかり気を配りがちですが、それでは能力が高い子たちのやる気が失われてしまいます。どうすれば能力差のある子たち両方の学びを充実させられるかを常に意識し自分なりに模索しながら実習に取り組みました。

グループに分かれてリーディングをしている様子。

実習中に最も努力したこと

「子どもたちのため」を一番に考え、自分にできることを見つけて積極的に行動するよう心がけました。絵本の読み聞かせでは正確な発音を確認し毎晩読みの練習を繰り返しました。子どもたちが自分の経験と結びつけて絵本の内容を考え、思いを伝えたいと感じてもらえるような工夫をしました。一日実習を終えると帰りのバスの中で寝てしまいそうになるくらい疲れますが、子どもたちが読み聞かせを真剣に聞いて力一杯手を挙げて発表する姿を想像すると毎晩の準備は全く苦ではありませんでした。英語能力に差がある子たちへの支援について先ほど述べましたが、能力が高い子にはより深く考えさせるような問題をその場で考えて出し、低い子にはヒントを沢山与え、子どもたち自身で考えて答えにたどり着けるよう意識しました。
子どもたちの様子をよく観察し気づいたことは先生に報告や相談をして助言をいただきながら実習内容をより濃いものにしていきました。先生は私の意見や気づいた点を踏まえて翌日の授業に取り入れてくださり、連携して授業を作り上げるような感覚がありました。実りのある実習になったのは先生のおかげだと大変感謝しております。

ホームステイについて

ホストファミリーとハイキング行ったときのサンセット!

中国系のホストファミリーにお世話になり、ロサンゼルスのダウンタウンに観光へ行ったり映画を見たりと、充実したホームステイ生活でした。途中で体調を崩してしまったときは迷惑をかけてしまい本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが、ホストマザーが作ってくれたスープのおかげですぐに回復しました。ホストファザーに「免疫力を高めるために運動しよう!」と言われ、人生初にして病み上がりハイキングをすることになり、一事はどうなることかと思いましたが振り返ってみると、それも楽しくてかけがえのない思い出の一つになっています。

努力したこと

ホストファミリーの生活スタイルに合わせて溶け込むことを意識していました。節水に気をつけているご家庭だったため、水を使いすぎないよう特にシャワーの時間は10分程度と決めていました。またホストファミリーとのご縁も大切にしたいと思い、夕飯を食べながら一日の出来事を話したり、日本好きなホストファザーの質問に答えたりして短い時間ですが毎晩コミュニケーションを取るよう心がけました。「このままアメリカの大学で勉強したら?こっちで小学校の先生になりなよ!」とありがたい言葉をいただいて、本当に嬉しかったです。ホストファミリーとは今でも連絡を取り合っています。日本とアメリカの距離は離れていますが、会えなくても第二の家族として心の距離は近いままずっと良い関係が続くことを切に願っています。

本プログラムを体験してみて

本プログラムで得られたことと、今後の活かし方

1つ目は、教員同士の連携です。子どもたちの間で問題が起きたときは教員同士情報をすぐ共有して対応されていました。対応の仕方で意見がぶつかるときもあり、その姿を見て、子どもたちの教育に対する責任と熱意が伝わってきたのを覚えています。
2つ目は教員と保護者の連携です。担任の先生と保護者はメールでやり取りができ、保護者が心配に感じていることがあればいつでも先生に相談して面談を予約できます。保護者と協力し合って子どもたちの成長を見守る体制が整っていると感じました。
3つ目は先生の授業力です。素晴らしい読み聞かせの技術で子どもたちの考えを上手に引き出し、様々な角度から物事を考えさせていました。たった絵本一冊と先生の声だけでこんなにも子どもたちの関心を引きつけることができるのかと本当に感動しました。先生がその場で作り出す発問や声かけを子どもたちはずっと覚えています。それだけ子どもたちにとって先生の存在や影響は大きいのだと感じました。
この経験から、私も周囲の人と協力し合い、相手を尊重しつつ自分の意見も大事にしながら熱意を持って働こうと思います。また家庭と連携しながら共に子どもたちを育てていく姿勢で保護者対応を行いたいと考えます。さらに自分の言葉も教材の一つであると捉え、考えや思いを子どもたちにどう伝えるか、伝え方や言葉の選択を意識して授業力向上に努めていこうと思います。

 

このプログラムを後輩や友人に薦められそうですか?
Yesであれば、その方々へメッセージをお願いします!

Yes!
子どもが好きな方や教育関係の職に就きたい方はもちろんですが、少しでもこのプログラムに興味がある方はぜひ参加をおすすめします。アメリカの小学校の教育を実際に自分の目で見て学び、体感することで指導するための引き出しが増えると思います。また、現地の先生方やホストファミリーは仕事を定時で終わらせて帰宅し、家族との時間を大切にしています。現地の人々の働き方からも学ぶことが多いでしょう。実際に感じたアメリカの良いところをそのまま日本に持ち帰って実践することは難しいかもしれません。しかし成果や利益だけを追い求めるのではなく、限られた時間の中でベストを尽くし自分の健康や時間を大事にするという心の持ち方で過ごしたことは貴重な経験になると思います。参加してみたいという好奇心を大切にして思い切って挑戦してみて下さい!